ぴんぷくの限界オタク日記

オタク向け作品の感想やメモ

賞賛なんてなくたって

どうもぴんぷくです。

前回の記事「翼の翼」に続くゲッサン3巻の紹介記事の後編になります。

 

前回の記事↓

翼の翼 - ぴんぷくの限界オタク日記

 

後編は前編の比じゃないくらい長いのでそのつもりで読んでください。

字数で言うと3倍くらいあります。

 

・前編のおさらい

 

 

前半は翼の掘り下げがメインでした、後半は物語の主題である「ジュリアにとってアイドルとは?」がメインになります。

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前編でこの物語の主人公はジュリアだと説明しましたが、前編だけ読んでも「本当にジュリアが主人公なのか?」と言われてしまいそうですが安心してください。

ちゃんと後編から主人公します。

 

と言う訳でまずは前回の記事の内容をざっくり振り返っておきます。

 

①性格は正反対

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真っ直ぐでクールな面倒見のいいジュリアと食わせ者でやんちゃで自由な性格の翼とでは真逆の性格です。 

 

②憧れは盲目に

 

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翼にとって美希は「人生のお手本」と言うくらい尊敬しています。

そして尊敬するが余り、美希が絡むと少し周りが見えなくなってしまう1面があると紹介しました。

 

③翼、不調へ

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美希とステージに立てるチャンスを逃して精神が不安定になり、いつもの翼らしさを失ってしまいます。

 

④翼らしさの復活

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ジュリアが合わせる事で翼の「自由」を取り戻させます。

 

⑤ジュリアは何でアイドルやってるの?

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このお話の主題がついに明らかになります、これはジュリアが「自分にとってのアイドルとは何か」を探す物語です。

 

そして前編記事の冒頭でも書いた通りこれは新曲"アイル"誕生の物語。

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それではここから後編です。

 

 

早速前回からの続きを見て行きましょう。

「ジュリアは何故アイドルをやっているのか?」に対する「今のジュリア」の回答から後編の物語は始まります。

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答えは「わからない」です。

一体どうしてわからないのでしょうか?

しかもどうやらなんらかの葛藤がある様子が伺えます。

 

「ジュリアは何故自分がアイドルをやっている理由がわからないのか?」この謎を解く為には「ジュリアの葛藤」がなんなのかを知る必要がありそうです。そしてそのヒントは恐らく「ジュリアの過去」に隠されていると思われます。 

 

それでは次の項目では、「ジュリアの過去」について紐解いていこうと思います。

 

そしてこの「ジュリアの葛藤」こそが今回のお話の主題である「ジュリアにとってアイドルとはなにか?」なのです。

 

 

・ジュリアの「過去」 

ジュリアはもともとバンドのボーカリストでした。

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ではそもそもジュリアはそこからどのようにしてアイドルになったのでしょうか?

これに関してはゲッサンだけではわからなかったので、少し前の記事も紹介した通りゲッサン最大の魅力である「曲の力」を借りてジュリアの過去について考察して行こうと思います。

  

 

 ジュリアの曲は

スタートリップ

流星群

プラリネ

この3つです。

時系列的には「スタートリップ」と「流星群」が今回の物語の時点で既にジュリアが歌っている曲で、「プラリネ」はこの物語が終わった後にジュリアが作った歌だと思われます。

ですので「ジュリアの過去」を見ていく為に「スタートリップ」と「流星群」の歌詞を見て行きましょう。

 

歌詞が前後したり省いたりしますが、説明の都合上いつもこの様にやっていますのでそこの所はご理解ください。

 

それではジュリアにとってのアイドルとしてのスタートライン「スタートリップ」から見るジュリアの過去の考察からです。

スタートリップ

窮屈だと思ったくせに都合良く何度も夢に見る
窮屈だと思った場所があたしを今も守っている
ヒトツヒトツがあたしを作るから あなたと出会った日を忘れない

この「窮屈だと思った場所」とは恐らく「過去にあった辛い期間」でしょう、
その辛い期間があるからこそ今の自分があるんだ。と歌っています。

そしてもう一つポイントがあります。それは「あなたと出会った日を忘れない」の「あなた」とは誰の事なのかと言う点です。

「窮屈だった場所が今も私を守っている」それが「あたしを作る」と歌っています。つまり「過去の辛い記憶」が「今の私を作る」そしてだから「あなたと出会った日を忘れない」と歌っているのでこの「あなた」と言うのは「過去の自分」の事を示している事になります。

この「あなた」=「過去の自分」と言うのは後の「流星群」や「プラリネ」にもつながって来る非常に重要なワードなので覚えておいて欲しいです。

ヒトリきりでもあたしは歌ってた 後ろ指さされる日もあった
見慣れた町の見慣れた帰り道 涙よ落ちないで 

「過去にあった辛い期間」の補足です。「後ろ指さされる日もあった」事が辛い経験の正体の様です。恐らくロックバンドのボーカルをしていた時にバカにされたて泣きそうになりながら歩いた帰り道が忘れられないのだと思われます。

 

「過去にあった辛い期間」=「バカにされた経験」

これも後々かなり重要になって来るので是非覚えておいて欲しいです。

そんな夜を越えて今日も明日もあたしは歌うから 
躓くこともまたあるけれど新しい街 新しいステージで
あたしだけのメロディー探す旅に今出掛けよう
「そんな夜」と言うのは「過去にあった辛い期間」の事ですね。そしてそんな「過去」があるから「今」の自分がある、そして「未来」に向けて旅に出ようと歌っています。この「新しいステージ」の意味は色々と解釈のしようがあるで難しい所です。とにかく環境の変化を求めてステージを変えようとしています。

個人的には「新しいステージ」=「アイドルの道」だと思っています。

これの根拠となるものは後々沢山出て来るので意識してみてください。

 

まとめるとスタートリップは
「辛い事もあったしこれからもあるだろう、それでも歌の道に進む為にいざアイドルの世界へ!」と言うジュリアの過去が非常によく描かれている曲です。

 

この「スタートリップ」と言う名前も「星に乗って旅に出よう」と言う意味だと思います。星はどこへ行くのか軌道がわかりませんよね、これはそんな「行先が見えない旅なんだ」と言う意味が込められているのでしょう。

この「行先が見えない」と言う所からも、藁にもすがる想いでアイドルの世界に飛び込んだ、と言う意味なのではないかと思っています。

 

 

そしてジュリアの2つ目の曲がこちらの「流星群」です。

 

流星群

流星が降る夜にドキドキして歩いた
あたしはヒトリボッチだけど怖くなかった

「スタートリップ」の時に比べて「夜」に対する捉え方が180度変わっています。

「スタートリップ」では「涙した夜の帰り道を乗り越えて」と言う様に「夜」を乗り越えなきゃいけない苦い記憶として歌っていました。

しかし「流星群」では「ドキドキする様な夜」と言う様にポジティブなイメージで歌っています。

しかも「スタートリップ」では「後ろ指刺されながら歌うのは孤独だった」と歌っていたのに対して「流星群」では「ヒトリボッチだけど怖くない」と歌っています。これも考え方が180度変わっていて非常にポジティブになっています。

 

一体なにがあったのでしょうか?

ヒントはこの「流星が降る夜」に隠されているんじゃないかと考えています。

「スタートリップ」とは「星に乗った旅、夢に向かう為の行先のわからない旅」と言う意味でした。つまりここでの「流星」というのは「夢に向かって進む人達」の事を示しているのではないか考えられます。

恐らく地元では後ろ指刺されながら馬鹿にされて来た「音楽の夢」が、ステージを変えてみたら、アイドル達が当たり前に音楽の道を夢見て歩んでいる。そんな世界を見たのではないでしょうか。

こう言う所からもやはり「スタートリップ」での「次のステージ」=「アイドルへの道」と言うのが有力な気がします。

 

暗闇を照らすように光が一筋浮かぶ
ココから未来まで道が出来たみたい
足音が響いてる 思わず走り出した

そして「辛い場所にいた自分にも希望の光が見えた、音楽の夢への道ができた」と歌っています。恐らくずっと馬鹿にされて来た自分の夢と同じような夢を持つアイドル達を見た事で、刺激を受けて暗い感情が一気にポジティブになったと考えられます。

だから「スタートリップ」に比べて「流星群」はこんなにも明るいんですね。

 

「スタートリップ」では「どうなるかはわからないけどとにかく見てみよう」と言う先がわからなくて不安な思いでしたが、実際に見てみた衝撃が余りにも凄かったのでしょう。その後「思わず走り出した」と歌っています。

アイドルへの道は昔のジュリアからしたら当然「同じ音楽の道」と言うだけで、畑の違う道です。そんな道なのにも関わらず、不安な思いでがむしゃらにアイドルの世界に飛び込んでみたら、そこに希望を見てしまった訳です。

アイドルなんて自分らしくない事はわかってるはずです。それでも暗闇の中で初めて見えた希望に向かって思わず走り出してしまった訳ですね。

 

空を彩る星に乗ってあたしは未来へ
願い事をたくさん詰めた鞄を握りしめ
キラキラのステージへ振り返らずに走ってゆこう たとえ遠くたって

「スタートリップ」では星に乗る事は「行先の見えない旅」と言う意味でしたが、「流星群」では「空を彩りながら未来へ向かう旅」と言う様に行先が、「わからない」から「未来」へと変わった事で「願い事をたくさん詰めた鞄を握りしめ、キラキラのステージへ」と旅への考え方がとても明るくなっています。

この「ステージ」と言う単語は「スタートリップ」にも出てきました。

「スタートリップ」では「ステージ」=「アイドルの道」だと説明しました。

ジュリアは恐らくここで「アイドルの道」を迷わずに進む決心をしたのだろう事が伝わってきます。

 

そして「たとえ遠くたって」と歌っています。

自分がアイドルらしくない事をわかっての事でしょう、遠い道のりである事を感じています。それでも「この道しかない」と言う決心を感じます。

 


流れる星のようにだれよりも輝いて
あなたの足元を照らせたらいいな
寂しくないと強がる手をあたしに握らせて

「スタートリップ」でこれは重要だと説明した「あなた」と言うワードが出てきました。これは「あなた」=「過去の自分」と言う使われ方でしたのでそのまま当てはめると、「流れる星の様に誰よりも輝く事で、馬鹿にされて来た過去の自分の救いになりたい、孤独だった自分に寄り添ってあげたい」と歌っています。

ちなみにこの「流れる星のように」というのは先ほど「流星」=「夢に向かって進むアイドル達」と言う解釈をしましたので、「あの日自分の行く道を照らしてくれたアイドル達様に、今度はわたしが過去の自分を照らしたいんだ」と言う想いを感じる事ができます。

そして続いての歌詞

願い事とあなたの手を強く握りしめ
唇から零れ出すコトバを並べたら歌声に変わるの

願い事はもう唱えた?あたしと未来

そんな「過去の自分今の願いを胸に、その想いを言葉にすれば歌になる」と歌っています。ここまで来れば言わなくても明白ですがジュリアは曲に自分を投影して歌にしてるんですよね。

そして「過去の自分今の願いを歌えば未来の私になるよ」となっている訳ですね。

 

「流星群」のストーリーの段階ではまだアイドルの道を行く決心をしただけなので、当然まだステージにも立った事はありません。

それでも未来の自分はこの過去を胸にこの「流星群」と言う曲をステージの上で歌っているんだよ。と言う意味になっている訳ですね。

 

「流星群」という名前の意味ですが、「流星」=「夢に向かって進むアイドル達」と言う解釈ですので「スタートリップ」が行先の分からない星に乗った旅だった事を考えると、「夢に向かって進むアイドル達に、行先がわからなかった自分も同じ軌道と合流して、仲間と同じアイドルの道を進む「群」になるよ」と言う意味だと考えられます。

 

このように「スタートリップ」と「流星群」は時続きになっておりジュリアの過去のストーリーが非常によくわかる様になっています。ここまでがゲッサン3巻のが始まる前までのお話でゲッサン3巻を経て次の「プラリネ」に繋がって行きます。

「プラリネ」の考察についてはまた後で紹介します。

 

・「スタートリップ」「流星群」から見るジュリアの過去まとめ

①後ろ指刺されながら夢を否定されながらも音楽の道を目指す辛い過去

②藁にもすがる想いで行先のわからないアイドルの世界に飛び込んだ

③夢に向かって進むアイドル達から希望をもらう

④そんな希望が見えた世界に思わず走り出した

④今度は過去の自分に希望を与えられる様なアイドルになる事を決心

⑤だからそんな過去の想いと今の願いを歌に乗せて未来の自分が歌うんだ

 

以上が楽曲から見るジュリアの過去に関する考察です。

長くなってしまいましたがここを明確にしておかないとゲッサンの主題である「ジュリアにとってのアイドル」を解釈するのが難しくなってしまうのでがっつりやりました。

 

そんな過去があるジュリアですが、ゲッサンでの「今」はどうなっているでしょうか?

 

・ジュリアの「今」

 

さて、「スタートリップ」でアイドルの世界に飛び込み「流星群」でアイドルになる覚悟を決めた訳ですが、ゲッサンで描かれているジュリアの「今」はどうなっているのか少し振り返ってみましょう。

 

①ステージで歌を歌えているし歌には真剣

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アイドルの中でも異色と言われるほど「歌」に対する想いが強く、その力をステージで発揮しています。

 

 

 

②やってやる意思がある

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一度やると決めたらやる、中途半端を嫌う性格のジュリアらしい回答です。

 

 

 

③でもダンスはまだからきし

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それでも自分に似合わないダンスはやっていないようです、実際これはジュリアにとっては結構大きな問題になってきます。理由は次の③

 

 

 

③だからなりきれてない自覚がある

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中途半端が嫌いな性格のジュリアにとっては、自分がダンスができずアイドルになりきれていないのは自分が中途半端な事をしている自覚があり、それをかなり気にしています。

 

まとめると

「流星群」でアイドルの道を行く決意を固めたジュリアですが、事務所に入り活動を始めてからの現実は、結局得意な「歌」をやるばかりであまりアイドルらしい事はまだできていないのが現状の様です。

 

それでは最初の疑問に戻りましょう。

では何故ジュリアは「流星群」でアイドルの道を行く決意を固めたはずなのに、翼の質問に対して「どうして自分がアイドルをやっているのかわからない」と答えたのでしょうか?

 

この答えこそが物語の主題である「ジュリアにとってのアイドルとは?」の解答であり、ジュリアが足踏みしてしまっている最大の原因です。

 

それでは次の項目では「何故ジュリアは自分がアイドルをやっている理由がわからないのか」の答えを知るべく、主題である「ジュリアにとってアイドルとは?」について考察して行きます。

 

・「ジュリアにとってアイドルとは?」

 まず「ジュリアにとってのアイドルとは?」の解答にたどり着く為にはある2つの疑問を先に解決させなくてはなりません。

①そもそも何故ジュリアの中で「過去の自分」がこんなにも「辛かった記憶」となってしまっているのか?

②そして何故ジュリアはアイドルのステージが希望の光に見えたのか?

そして最後に

③「ジュリアにとってアイドルとは?」です。

 

それでは順番に紐解いて行きましょう

まずは①「過去の記憶が辛いものだった理由」から。

①の答えは全ての始まりである「スタートリップ」の中にあります。

「スタートリップ」の項目で重要だと説明したのはここに繋がってきます。

「スタートリップ」では「辛い期間」の補足として「後ろ指さされながらも歩んできた」と言う風に歌っています。

 

ですので①の過去の記憶が辛いものだった理由の解答は「後ろ指さされてバカにされて来たから」です。

 

続いての②の「アイドルのステージが希望の光に見えた理由」は①の解答からそのまま繋がっています。

過去が辛かったのは「後ろ指さされてバカにされて来たから」それで思わず飛び出した、そしてそんな場所で「後ろ指を刺す人なんていないアイドルのステージ」と言う世界を見てしまった。だから希望を感じた訳です。だから「自分もそんなバカにされない存在になる事が過去の自分の救いになる」と思った訳です。

 

最後に「ジュリアにとってアイドルとは?」

この答えは①②の解答から導き出せます。

答えは「アイドル=馬鹿にされない存在」です。

なぜならジュリアは自身が「後ろ指さされてバカにされない存在」になる事で、「過去の自分」を救おうとしているからです。

どういう事かと言うとジュリアはまた後ろ指さされてバカにされるのが怖いのです。

過去の自分を救う為に「後ろ指さされてバカにされない存在」にならなければならないと言う想いの所為で、自分に似合わない「歌」以外のアイドルらしい事を避けてしまっているのです。なぜならそんな事をしたら今度は似合っていない事をバカにされるかもしれないから。

自身が「過去の自分を救う存在」とならなければいけないと思えば思うほど「馬鹿にされるかもしれない事」に怯えているのです。 その結果得意な「歌」に逃げてしまい、ずっとそこで足踏みしてしまっていると言う訳です。

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まとめると

ジュリアは自分が「アイドルらしいアイドル」になれれば、後ろ指さされてバカにされることのない「過去の自分を救う存在」となれる事はわかっています。しかし自分に似合っていないアイドルの姿は「また後ろ指さされてバカにされるんじゃないか」と怖がっている所為で今のジュリアはそんな「後ろ指さされてバカにされないアイドルらしいアイドル」になれる自信がないのです。

 

かなり話が見えてきました。

そしてここまでくればついに「何故ジュリアは自分がアイドルをやっている理由がわからないのか?」と言う疑問の答えが明らかになります。

ジュリアは「アイドルらしいアイドル」になる為にアイドルの世界に入ったのにも関わらず、「アイドルらしいアイドル」になれる自信が持てない所為で「歌」に逃げてしまっています。しかしこのままではいつまで経っても「過去の自分を救う存在」にはなれません。

だからジュリアは、なんの為にアイドルの世界に入ったのかがわからなくなってしまっていると言う訳です。

そしてこれが 「ジュリアの葛藤」なのです。

 

 

 これこそが「ジュリアの葛藤」の正体である事がわかりました。

では「ジュリアにとってのアイドル」は本当にこのままでいいのでしょうか?

もちろんそんなはずはありません。

 

だからこそ今回の物語の主題は「ジュリアにとってのアイドルとは?」なのです。

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・ジュリアを救うには ?

さて、ジュリアの過去とその想いがわかった事でようやく今回のお話はこの「ジュリアにとってアイドルとは?」と言う問題と「ジュリア葛藤」を解決へと導く為のお話。と言う事の根拠を示すことができました。

 

ではどうすればこの問題は解決するのでしょうか?

方法はいくつかあると思います。

なのでまず前提だけ確認しましょう。

 

前提①ジュリアはこの葛藤を乗り越える

これを前提にしないとこの物語がなんの為の話だったのかわからなくなりますし、ジュリアを救うにはどうすればいいかを考える意味もなくなってしまうのでこれは前提にしましょう。

 

前提②どうあってもアイドルの道は進む

「流星群」でアイドルの道を進む事の決意は終わっていますし、やると決めたからにはダンスもやると言っていたので、ジュリアはその「勇気」がないだけで「覚悟」は本気なのです。

 

前提③「過去の自分」は切り捨てない

あまりいい言い方ではありませんが、ジュリアにとって「過去の自分」は今の自分を追い詰める「呪い」になっているのは事実です。だからいっそのこと切り捨ててしまうのは一つの手かもしれません。しかし曲の中で「「過去の自分」が「今の自分」を形作っている」と歌っているのもまた事実なので、過去を完全に切り捨てることはありません。

 

これらを前提とするならば もう解決の答えは出たようなものです。

ジュリアを救うには

ジュリアは「過去の自分」は背負ったままで、アイドルの道を進む「勇気」があればいいのです。

 

 

 では誰がどうやってこの事をジュリアにこのきっかけを作ってあげられるのか?

ここまでの私の記事を全て読んでいる方ならもう気づいているのではないでしょうか?

 

前編では「ジュリアが翼に」翼らしさを取り戻すきっかけを作りました。

と言う事は、後編は今度は「翼がジュリアに」解決のきっかけを与える番と言う訳です。

もうゲッサンではお決まりのパターンですね。

毎回違う方向からこれをやってくるの本当描き方が上手いなーと思います。

 

 

 

・「くだらない夢」

さぁここからが本番です。

それでは話を本編に戻しましょう。

 

「正直まだアイドルになりきれてないんだ」と答えたジュリア、そして「やっぱりアイドルなんて自分には柄じゃない」と言うジュリアに対して翼は…

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「ジュリアはアイドルでもいつものジュリアだよ」と答えます。

はい、いきなり100点満点です。

なんと翼はアイドルの姿の自分に自信が持てず、馬鹿にされる事に怯えているジュリアに対して「アイドルでもジュリアはジュリアとして輝ける」、「ジュリアはアイドルの姿でも変わらずジュリアだよ」と言うジュリアがアイドルの道を進む事を勇気づける完璧な解答をご用意してしまいました。

 

 

しかしまだこの言葉はジュリアの心には届きません。

なぜならジュリアは自分がアイドルの姿でも、いつもと変わらない自分であるとは思ってないからです。

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それでも少し心は晴れたような表情を見せます。

少しだけ勇気を貰ったのでしょう。

あと一歩欲しい所です。

 

そして次のシーン

翼は美希のオーディションの事を思い出します。

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それに対してジュリアは

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美希に拘る翼に対して「自分のなりたい自分であれ」「だから翼は翼らしくあればいい、だって美希にはなれないんだから」と言います。

 

 

ところが翼の反応は・・・

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えーーーーわかってたのーー!?

 

そうです、翼は最初から「美希」を目指していた訳ではなく「理想の自分」を目指していたのです。翼は美希を「人生のお手本」と言うほど尊敬して美希の真似をしてはいますが、そもそも翼は「美希と言う人物」に憧れた訳ではないのです。

 

翼にはもともと「理想の自分」を描いていて、それがたまたま美希と当てはまったから「人生のお手本」としているだけなのです。だから翼にとってはもしこれが別の人に当てはまっていたら、極端な話ですがそれが美希である必要すらないのです。

 

そう考えると前編でも説明した「翼は美希に自分の理想を重ね掛けしている」と言う事の理由もこれで説明がつくのではないでしょうか?

 

 

そして続いてのシーン

予想外の反応をしてきた翼に驚くジュリア。

しかも理由は「わたしが目指してるのは美希じゃなくて、わたしだよ」と答えます。

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翼は先ほど「ジュリアはアイドルでもいつものジュリアだよ」と言うジュリアに対する100点満点の解答をぶつけましたがその言葉はジュリアには届きませんでした。

しかしこの「わたしが目指してるのは美希じゃなくて、わたしだよ」と言う言葉をきっかけに、ジュリアの気持ちは大きく揺れます。それは何故なのか考察しましょう。

 

先ほど翼は「美希」ではなく「理想の自分」を目指していると説明しました。

ではジュリアはどうでしょうか?ジュリアは「理想の自分」から逃げています。

 

だからジュリアはこの言葉で先ほど自分が言った「自分のなりたい自分であれ」と言う言葉が自分にそのまま帰ってきた事に気がついて心が大きく揺れたのです。

 

 

 そして次のシーン

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翼は自分の夢を打ち明けます、その夢はまるで子供の様な翼らしい夢でした。

前編でも書いた通り翼は能力は高いですが、その行動原理の核となる精神面はまるっきり子供なのです。

 

 

それに対してジュリアの反応は

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その子供の様な翼の夢を「くだらない夢」だと評します。

 

 

 

 

なぜならそれは文字通りただの夢物語、現実はそんなに甘くないからです。

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 こんなのは子供が見る幻想、本気で目指す夢じゃない。

そんな現実は本当は誰だってわかっているんです。特に過去に夢を追いかけ、現実を経験してしまったジュリアには。だからジュリアにとってこの夢は「くだらない夢」

 

 

しかし翼は

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 翼はこんな大人なら誰も知ってる子供が夢見る幻想を、「くだらない夢」を、なんの恥じらいもなく本気で目指しているのです。

 翼と言うキャラクターがよく出ているいいシーンですね。

 

 

 

そんな翼をみてジュリアは現実を知る前の「過去の自分」を思い出します。f:id:peapoo-pnpk:20200626121553p:plainf:id:peapoo-pnpk:20200625214603p:plain

 その頃の「過去の自分」は翼と同じ「くだらない夢」を見ていました。

ジュリアの中で「過去の自分」は辛い記憶であり、救わなければいけない存在と言う意識が強すぎて、夢を見ていた頃の事など忘れてしまっていたのです。

 

これによってジュリアは「過去の自分」が「なりたい自分」から逃げずにちゃんと目指していた事を思い出した訳です。

 

前の項目でジュリアを救うには「過去の自分」は背負ったままで、アイドルの道を進む「勇気」があればいいと説明しました。

 

翼はジュリアに

「アイドルの姿でもジュリアはジュリアだよ」と少しだけ勇気を与えた。

そして「今の自分」は「なりたい自分」から逃げている事に気づかせてくれました。

そして「過去の自分」は「なりたい自分」を目指していたと思い出させてくれました。

 

完璧すぎるぞ翼…

これでジュリアを救う為のピースは全て揃いました。

後はジュリアだけの力で今回の問題はきっと乗り越えていける事でしょう。

 

話を戻しましょう。

ジュリアは今の気持ちを歌にせずにはいられません。

そして丁度こんなカットがありました。

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この状況で使われない訳ないんですよね。

歌詞も曲名も決まっていないそうです。果たしてどんな曲になるのでしょうか?

 

 

それは明日のライブのお楽しみ

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・その曲の名は"アイル"

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前編でこの物語は「アイル」誕生の物語だと言いました。

ついにここで誕生です。

 

 

「アイル」とはフランス語で「翼」と言う意味だそうです。

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これはジュリアが翼と向き合って感じた事、そして翼から教えて貰った事をそのまま歌にしたものであり、翼が歌う、翼を歌った、翼の為の曲です。

 

 

 

だから今度は「自分に合わせろ」なんて言いません。f:id:peapoo-pnpk:20200626193938p:plain

なぜならこの曲の主役は翼なのだから。

翼らしさは「自由」だから。

 

 

 

ついに「アイル」のステージです。

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ジュリアは翼に「くだらない夢」を全力で夢見る真っ直ぐな瞳を魅せられました。

だからその気持ちを歌にせずにはいられなかった。

 

 

 

そしてそれを今、翼を先頭にステージにぶつけます。

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ここの翼、めちゃくちゃかっこよくないですか?

これは完全に夢を見せる瞳ですよ。

 

 

それでは、そんな「アイル」の歌詞を考察して行きましょう。

勝算なんてなくたって構わない 
辿り着きたい場所があるから

「勝算なんてなくたって構わない」これこそがジュリアが翼に教えて貰った最大の言葉です。ジュリアは「なりたい自分」から逃げていました。それは自分がそうなれる事を信じられなかったから。ジュリアにとってのアイドルとはいつの間にか「くだらない夢」になってしまっていました。でもそんな事は関係ないんだと気づかせてくれました。夢を目指すのに「勝算」なんて必要ないんです。必要なのは「勇気」です。なぜなら「たどり着きたい場所があるから」その為に前に進めさえすればそれでいいのです。

 

ここの歌詞はジュリアが翼から受け取ったものがなんなのかと、それに対するジュリアなりの答えが感じられます。

 

賞賛なんてなくたって構わない 
カオを上げて道なき道をゆくんだよ

「賞賛なんてなくたって構わない」これもジュリアが翼に教えて貰った大きな言葉の一つです。ジュリアが「なりたい自分」になれる事の「勝算」を見出せなかった最大の原因は「なりたい自分」=「バカにされない存在」だったからです。だから「賞賛」に拘ってしまった。

しかしジュリアは「くだらない夢」を本気で夢見る翼の子供な瞳を見て、「過去の自分」の「なりたい自分」がなんだったのかを思い出し、それを叶える為に「賞賛」なんていらないんだと教えてくれました。

そして翼は、夢を追いかけるのに「勝算」も「賞賛」必要ない、だから顔を上げて夢への道を進めばいい、と言う事を示してくれました。

 

翼の「子供の幻想」だけど「本気の夢」と「周りを振り回す自由さ」を表した歌詞であり、ジュリアのアイドルの姿の自分がどう思われようとも構わないと言う覚悟を感じます。

 

行く手阻む山の中をくり抜いて向こう側へ
数秒間だけ見えた海の水平線キラリと光った

「アイル」はジュリアが翼から受け取ったものがなんなのかを非常によく感じられる曲ですが、基本的にはジュリアが感じた翼をそのまま歌にしたものです。だからこの曲のメインはジュリアではなくあくまで「翼」と言うのが前提です。

 「道なき道を行く」の補足です、翼に「急がば回れ」なんて言葉は似あいません。翼なら急いでる時ほど賢く、翼しか通らない裏技を使って進むのです。そしてそんな道の先にある翼の夢はとっても抽象的で不明瞭です。なぜならそれは大人なら誰もがただの夢物語だと知っている子供の幻想なのだから。しかしだからこそ一瞬だけ見えるその光は翼にとって何よりも美しいのです。

 

ジュリアが翼に見たその純粋すぎる瞳を歌に込めて「夢」を魅せたくなったその想いを感じますね。

 

知りたいことが山のようにあって
知らないことが海のようにあるの

翼の夢は「くだらない夢」で大人なら誰もが知ってる夢物語。でも翼にとってそれは海ほどある「知らないこと」、そして山ほど「知りたいこと」。

 

翼を翼たらしめているのは、翼がこれを追い求めている過程にあるのです。

なぜなら翼がもしこの「知らないこと」を、その「くだらない夢」の正体を知ってしまった時、それは翼ではなくなってしまうから。

だからこそ「知りたいこと」があり「知らないこと」がある今この瞬間の翼の瞳はこんなにも魅力的なのです。

 

ひやり暗い道の上に足音がフタツ響いた

きみが迷ったらあたしが手を引こう
あたしがまよったらきみが手を引いて

今歩いているトンネルを抜けたらほら
またヒトツ道が拓けるよ 遠くまで

ここの歌詞は2重の意味があるなと感じました。

1つ目の意味は「翼」と「ジュリア」です。

今回の物語を総括する様な歌詞です。

前編では「ジュリアが翼に」翼の自由を取り戻してあげました。

そして後編では「翼がジュリアに」夢へ進むべき道を示してあげました。

お互いが暗い道に立っている時、お互いがその暗い道から助け出した今回の物語をそのまま歌に込めています。

 

もう一つの意味はジュリアの「過去の自分」と「今の自分」です。

「足音が響いた」と言う歌詞は「流星群」でも登場した歌詞です。

「流星群」で響いた「足音」はその時見た希望の光の先で聞こえたものでした。

しかしここでは「暗い道」での足音です。これは「流星群」の時に感じたものとは違い、「今の自分」が立っている道は「現実」でした。そしてそれが「暗い道」に感じたと言う思いが現れています。

しかしその足音が「フタツ」響いてたと歌っている事がポイントです。

「スタートリップ」や「流星群」では基本的に「暗い道」に立つ自分は「ヒトリ」でした。

しかしここでは「フタリ」で立っています。これがジュリアの得た学びなのだと思っています。ジュリアは今まで「過去の自分」と「今の自分」がそれぞれヒトリボッチだと思っていましたが、翼に「過去の自分」の夢や思いを思い出させて貰った事で、自分が今立っている「暗い道」は「今の自分」がヒトリで立っているのではなく、「過去の自分」と共にフタリで立っているのだと言う事に気が付いたのだと考えられます。

そして「今の自分」は「過去の自分」を救う為にアイドルの道を選んだ訳ですが、同時に「今の自分」は「過去の自分」が見ていた純粋な夢やその想いに救われて、その勇気を胸に夢への道を進めるのです。

 

何十億年続いた世界だって 
だれも見たことのない景色を

あたしだけの道の先で

何回だって迷ったって構わない 

勝算なんてなくたって構わない 
賞賛なんてなくたって構わない 
胸を張って道なき道を進むんだ

翼の夢は「子供の幻想」であるが故に現実にそれを叶えている者はいませんし、翼でも叶えられることはないでしょう。だから翼の夢見るその景色はこの世界でまだ誰も見た事のない景色です。そんな当たり前に不可能な景色でも、「勝算」なんてなくたって夢見てる。そして誰になんと言われようと翼は胸を張って本気で目指している。

「賞賛」なんてなくたって

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・ジュリアの夢

 

こうしてステージは終わりました

そしてジュリアはステージの後、事務所でこんな事を口にします。

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この物語の主題は「ジュリアにとってアイドルとは?」でした。

ジュリアにとってアイドルとは「過去の自分を救う存在」であり「バカにされない存在」でした。そしてそれは「またバカにされるかもしれないもの」でもあり「自分にはなれないもの」だと思っていました。

だからなろうとすらしないで足を止めていた。

 

しかし今は「アイル」を経て

「バカにされるかもしれないもの」は

「バカにされたって構わないもの」に変わり

 

「自分にはなれないもの」は

「勝算なんてなくたって構わない、なりたいもの」に変わりました。

 

ジュリアにとってのアイドルは「現実」から「夢」へと変わったのです。

 

 

そしてラストシーでは

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「現実」を見て「夢」を閉ざしていたジュリアが、

目を開いて夢へと踏み出した最初の一歩。

正にその瞬間を見届けて、物語は幕を閉じるのでした。

 

 

・ジュリアの答え

 ゲッサン3巻の物語はここまです。

しかし実はこの物語を通してジュリアがどのように成長したのか、その後のジュリアの考えはどう変わったのかがジュリアの3つ目の曲「プラリネ」で描かれています。

最後にこの「プラリネ」の歌詞の考察をして終わろうと思います。

 

プラリネ

 

夢は夢として眠るときに見るものでしょう?
つまらない常識を捨ててあたしやっと大人になれた

ジュリアは苦い過去の記憶から夢を見る事と現実で目指すものは違うと思っていました。だから翼の夢を「くだらない夢」だと思った。

しかしそれはつまらない常識でした。

夢として眠る時に見る夢、つまり「くだらない夢」の事。しかしそれを見る翼の子供の様な瞳は本気だった。そして「夢」はそれでいいのだと教えてくれた。そうしてジュリアは立ち止まっていた場所から一歩踏み出せたのだから。

 

「プラリネ」では「スタートリップ」「流星群」から「アイル」を経て変わったジュリアが非常よく現れています。

 

後ろ指さされるくらい怖くなんてないから もう

「賞賛」なんてなくたって構わない。それを知ったジュリアはもう後ろ指さされてバカにされる事を恐れたりしません。

 

これも「アイル」で学んだものがしっかりとジュリアの中で消化されている事をしめしていますね。

 

あなたからもらったこの場所でもう一度素直になろう

悲しくたって悔しくたって未来にちょっと夢を見るの
まだあたしにだって子供みたいに信じる力があるよ

「スタートリップ」「流星群」でも登場した重要ワード「あなた」がまた出てきました。「あなた」=「過去の自分」です。

「過去の自分」から貰った場所、つまりジュリアが翼に魅せられた「くだらない夢」で思い出した「過去の自分」の「くだらない夢」の事です。

 

今回の物語は「過去の自分」が子供みたいに本気で信じていた「夢」は、現実を知った「今の自分」にとっては「くだらない夢」になってしまい進むのを止めてしまった。しかし翼との一件でその「くだらない夢」を信じる事で前へ進む一歩を踏み出した。と言う話でした。

 

そしてここの歌詞は

「過去の自分」が子供みたいに見ていた「夢」が現実を見てしまった「今の自分」にとっては「くだらない夢」になってしまった。しかしその時の「過去の自分」に立ち返る事で「今の自分」にだってその「くだらない夢」を信じる力がまだ出せるんだと歌っています。

 

今回の物語を経てそれがちゃんと「今の自分」の力になっている事を示しています。

 

後ろ指さされるくらい怖くなんてないでしょう?もう
夢は目を開いて見るものとあなたが教えてくれた

「アイル」を披露した後のシーンで口にした事がそのまま歌詞になっています。

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夢は目を開いてみるものと気がつくきっかけをくれたのは翼でした。しかし実際は翼が与えてくれたきっかけを通じて「過去の自分」が教えてくれたんだと歌っています。

 

ジュリアの中で「過去の自分」と言う存在はもう救うだけのものじゃない、自分も「過去の自分」に救われているんだと言う想いを感じます。

 

 

今をゼロとしてどちらがプラスになるのでしょう?
わからない だけど行かなくちゃ

 

今を「ゼロ」としてのこの「ゼロ」は物語の最後に一歩踏み出す前の時点を示しています。そして夢への一歩を踏み出す前と後では、どっちの方がいいのだろうか?と歌っています。

この疑問はジュリアがこの「ゼロ」の時点で抱えていた「ジュリアの葛藤」の事です。

しかし今のジュリアにはもうどちらがプラスになるかなんて関係ありません。なぜなら「勝算」なんてなくたって構わないのだと知ったからです。

だから「わからないけど進むんだ」と歌っている。

 

ここの歌詞はジュリアが「アイル」に込めた、「勝算なんてなくたって構わない」と言う言葉をしっかりと自分のものにもしている事が現れています。

 

後戻り出来ないくらい遠くまで来たんだ もう
あなたからもらったなにもかも道しるべにしてきたよ

嬉しくなって優しくなって前よりちょっと強くなるの
ほらあたしにだって出来ることが少しずつ増えてゆくよ

後戻りできないほど遠くに来たと言っています。

つい先ほどの歌詞では夢への一歩を踏み出す前の気持ちを歌っていましたが、ここからはそこから少し時間が経った後の事を歌っている様です。

ジュリアは、あの翼にダンスを教えて欲しいと頼んだ後、少しずつできる事を増やして、一歩一歩前に進んでいるんですね。

 

しかもそれは今でも「過去の自分」から貰った「夢」や「勇気」を道しるべにしているよと歌っています。

 

悲しくなって悔しくなって自分にもっと夢を見るの
まだあたしにだって出来ることが星が降るよに光るよ

ねえ 少し笑って時々泣いて 今よりもっと強くなれるから
未来はきっと子供みたいに信じるほどに光るよ

 そして当然「勝算」のないその道を進む事は決して楽な道ではありません。

悲しい思いや悔しい思いもあります、なぜならそれは「現実」だから。

そんな現実にぶつかっても、ジュリアは自分に「夢」を見る事をやめずに進む事ができたなら、そんな姿は星の様な輝きに変わるだろうと歌っています。

 

これはまさしく「くだらない夢」を本気で夢見る翼の瞳に魅せられたその輝きを、自分も出せるようにしたいと言う想いが込められています。

そうすれば現実にぶつかる度に強くなれる、夢を信じる想いが強いほどに輝ける。

だからこれからもこの「くだらない夢」を信じて、進んで行こうと歌っています。

 

ジュリアの曲は

「スタートリップ」でアイドルの世界へ飛び出し、「流星群」で「過去の自分」を救う為にアイドルの道を目指す決意をしました。

そして「プラリネ」では、現実を前に先へ進めなくなった「今の自分」が「過去の自分」に夢と勇気を貰い、お互いが支え合ってフタリで夢への道を進もう。と言う想いが込められています。

 

この「プラリネ」と言う曲名もそんな想いが込められた名前です。

プラリネとはフランスのお菓子で、砂糖とナッツを混ぜたものです。

甘すぎる砂糖をナッツの苦みで中和した古くから愛されている古典的お菓子だそうです。

つまりこの曲は

子供みたいな甘い考えをしている「過去の自分」を「砂糖」に例え、

逆に現実を見て大人になってしまった「今の自分」を「ナッツ」に例え、

 

そのフタリが混ざり合えば、お互いが支え合って夢への道を進めるよと言う意味が込められているのではないでしょうか?

 

 

 

・最後に

3巻の紹介は以上になります。

今回はゲッサンの番外編「ジュリアにってアイドルとは?」と言う主題の物語のよかった点や考察を紹介しました。

 

今回は4曲もの歌詞の考察をしました。

「スタートリップ」

「流星群」

「アイル」

「プラリネ」

どれも歌詞だけではなく曲自体もめちゃめちゃいい曲なので、もし曲を聞いたことがない人がいましたら実際に聞いてみて欲しいです。

そしてこれらの曲から是非ジュリアの学びや想いを感じて見て欲しいです。

 

実際私自身もこれらの曲に影響を受けて、1年近く書けなかった記事を書く事ができました。

 

この続きも近いうちに更新しようと思っています。

もう完全に理解するのが難しいからといって途中で投げる事はしないと思います。

 

それはこの物語を通して、

そして曲を通じて、

 

こんな趣味で書いてる記事なんて多少曖昧でも堂々と書けばいいと思わされたからです。

 

なぜなら

「勝算」なんてなくたって構わないんだから。

もちろん

 

賞賛なんてなくたってね。

 

 

 

それではまた