ぴんぷくの限界オタク日記

オタク向け作品の感想やメモ

ミリアニ初週感想、彼女たちのスタートラインとミリオンの意味


待っていればアニメの放送が始まるでしょうが流石に待てません。

映画館で先行公開するので早速初週の4話までを観てきました。

かなり面白かったです。

基本的に自分の中でミリオンと言えばゲッサンなのでそことの違いを確かめに行った訳ですが、素晴らしかったです。

正直12話全部終わってから書こうかなと思っていたのですが、4話時点で既にまとめておいた方がよさそうな雰囲気がかなりあるので、メモとして残しておく事にしました。

以下ネタバレ全開です。

 

ゲッサンから見るミリアニ

物語は未来が色々な部活を掛け持ちして、やりたいことが多すぎて決められない所から始まります。校庭の蛹の描写があるのは「まだ何者になるのか決まっていない今の未来」を象徴しています。この辺はゲッサンと全く同じと言っていいでしょう。

しかしゲッサンと大きく違うのは未来達のスタートラインが揃っているところです。

ゲッサンでは未来がアイドルになるかなり前から静香と翼はアイドルです。

ゲッサンだと静香が未来に色々と教えて行く流れになるのですが、ミリアニは3人が先輩達に色々教わる流れになっています。

これはかなりいいと思います。

確かにゲッサンでは静香や翼がどうやってアイドルになったのかが描かれていないので、全体的には「イチポムの話」というよりは「未来の話」に傾いていた印象があります。

これに対してミリアニではイチポムの3人のスタートラインが完全に揃っており、3人の成長がそれぞれ平等に描けるようになっています。

つまりこの蛹が象徴するのは未来だけではなく、静香と翼(と恐らくP)のことも同時に表していることになる訳です。

そしてこれがもたらす展開がゲッサンでは描けなかった新たな物語となっていきます。

 

・静香のスタートライン

未来のスタートラインはゲッサンと同じで、沢山のやりたいことの中から一番を選べないというものでした。ではゲッサンでは描かれていない静香のスタートラインはどこにあったのでしょうか?

今回ミリアニで一番感心したのは、あの会場に未来がいなければ静香はアイドルのオーディションに応募する事はなかった所です。

これ描かれ方がちょっと不親切で皆に伝わってるのか微妙に不安なんですけど、静香は1話のライブ会場で未来に出合ってなかったらオーディションには応募してません。

静香にとってアイドルは憧れですがそんなものは夢のまた夢くらいに思っています。現実は親がそれを認めないので、この時点の静香に応募する勇気はありません。出来ることと言えば大好きなアイドルのライブを見てオーディションの用紙を羨ましそうに眺めることくらいです。

そんな静香が未来との出会いで変わったのがあの1話だった訳です。

確かに言われてみれば、ゲッサンで静香が親を説得してアイドルをやってるのって大分話が飛んでるんですよね。

静香にとってアイドルは手の届かない所にあるものだった時もあるはずです。

今回のミリアニではそこをしっかり描こうというわけです。

だから恐らくミリアニの静香はオーディションに合格した事をまだ親に言えてないんじゃないかと思っています。この辺がどうなっていくのかは5話以降に期待している部分です。

 

・翼のスタートライン

正直ゲッサンから入った身からすると翼の印象が1番変わった気がします。翼ってあんなに最初からPに懐いてる感じなんですね。

では翼はスカウトをしてくれただけのPになぜあんなにベタベタなのかを考えてみます。

答えは恐らく「決めてくれたから」ではないでしょうか。

これが翼のスタートラインを説く鍵です。

 

翼はオールラウンドタイプの天才です。基本的にはなんでもできます。

しかしその才能をどうやって使うのが一番いいのかが、わからなかったんだと思います。

きっと周りに相談しても「翼ならなんにでもなれるよ」としか返ってこない。そんな時に「君にはアイドルの才能がある」とスカウトされたんじゃないかなと思います。

つまり「なんでもできるから何者になるかを決められない」これが翼のスタートラインだと思います。

そういう意味では翼のスタートラインは未来と近いと言えるでしょう。

 

そしてこの3人のオーディションを受けてPは、ナムコプロに新たに入った39名のアイドルに「ミリオンスターズ」という名前を付けます。

では何故「ミリオン」なのでしょうか?

その答えは彼女達のスタートラインを振り返ると見えてきます。

 

・ミリオンの意味

彼女たちのスタートラインに共通しているのはどれも「可能性が可能性のままになっている」ところにあります。

翼と未来は無限の選択肢から、これ!というものを選べないでいたし、静香は夢があるのに「そんなに甘くない」とか言って踏み出せない。

しかしそんな可能性で止まっていた蛹の彼女達が、ついに「オーディション」という具体的な目標に向かって歩き始めます。

そんな彼女達を見たPの眼に映ったのは39人が実際にステージに立っている具体的な姿でした。

つまり、ミリオンの意味は「具体性」です。

この具体性とは「可能性を可能性のままにしない」という意味です。

可能性は無限に存在します。しかしその可能性はどんなに大きくても、どこかの数字に着地しなければ可能性のままです。

つまりミリオンとは「限りなく大きい、しかし具体的数字である」ということです。

100万と言う数字はとてつもなく大きな数字ですが、決して数えきれない数字ではありません。限りない無限の可能性を、限りある有限の現実のものにする。という意味が込められているわけです。

要するにミリオンとは「夢を叶える」という意味だったことになるんですよね。

だから社長が「見えたんだろ?アイドル達の輝きが、100万の命の鼓動が」

と言っていた訳です。

なんで今までこれを描かなかったのか不思議で仕方ないんですけど、これは流石に大事件だと思って取り急ぎ記事にしておこうと思った次第です。

ここから物語は原っぱという何もない空間(無限の可能性)から、ライブができる場所(自分たちが具体的にできること)を作っていく話に繋がっていくし、屋上から見る景色は星空じゃなくて町の光な訳です。

そう考えると今後の展開も、ふんわりしたやりたい事を具体的な構想に持って行く感じの話になりそうですね。

 

5話以降も楽しみです。