プリマジ1話を見ました。
かなり面白いことをやっているなと思います。
今後の展開にも期待できる点が数多くあり、今年の注目の1タイトルになると思っているので、個人的に注目したいポイントと感想を書こうと思います。
プリシリーズ的には魔法を扱うのは初めての試みでありライバルである同業に魔法をメインに扱うプリキュアシリーズが存在する事から、プリシリーズが描く魔法の解釈がプリキュアと比べてどのように扱われるのかに期待が高まります。
最近のプリシリーズは既に存在する女児アニメがやっている事に主軸を被せて、プリシリーズなりの独自のテーマを乗せて再解釈すると言う手法を取っている傾向があります。
直近だとキラッとプリチャンはアイカツが描く「憧れのバトン」と言う主軸にプリシリーズの描く友達や多様性と言ったテーマを乗せて同じなようで全く異なる作品を見せてくれました。そして今回は「魔法」を扱うと言う事なので概ねそういう事だと思っています。
・差別造語「チュッピ」について
ここで注目したいのはプリマジではみゃむと言うキャラクターが「チュッピ」とか言う差別表現の造語を連呼しながら颯爽と現れる所です。普通に考えれば「チュッピ」と言う表現は明らかにおかしい。プリキュアを含む魔法を扱う大抵の作品で言えることですが「プリキュア」や「魔法少女」の様に魔法を使える者にはそれを示す呼び方が存在します。これは特別な存在であるが故に特有の呼称が必要だからそう呼ばれている訳ですが、当然普通は魔法を使えないのでそれに対する呼び名を設定する必要はありません。精々「人間」や「普通の人」程度の表現になるのが一般的です。
しかしプリマジでは魔法を使えない人の事をわざわざ「チュッピ」と呼びます。これはハリーポッターシリーズの「マグル」と言う表現と同じであり、これは作中ではかなり見下した表現として扱われている事からもわかる様にあまり褒められた表現とは言いがたいです。
しかも事プリシリーズの様な朝に放送する女児向けのコンテンツなら尚更このような教育上いかがなものかと思われる表現は避けるのが普通に考えて無難です。
そんな事情には目もくれず「チュッピ」とか言う差別表現をあえて扱う今回のプリシリーズのやり方はかなり挑戦的と言えます。明確にプリキュアシリーズ異なる点でありここにプリマジの理念が隠れ潜んでいる気がしてなりません。
「チュッピ」と言う言葉が差別表現だと言う見解はそれだけ聞くと流石に過敏になっているだけである様な気もしますが本編を見るとあまり気のせいとは思えません。
「チュッピにはマジがないもんな」
「チュッピはこういうのが好きなんだろ?」
みゃむのチュッピに対する見下し方はどう養護しても差別的と言わざるを得ません。
それでは何故このような表現が前面に出て来ているのでしょうか?
個人的な考えですが、これは主人公日比野まつりが自分の夢と現実に向き合う物語だからだと思っています。
まつりはトッププリマジスタのジェニファー・純恋・ソルに憧れるも自分に自信が持てない女の子です。まつりは自信が持てないが故にプロフィールの夢の欄を空白にしています。
そんなまつりを見て「やりたいなら、やれよ」と言い放つみゃむの容赦なさは正にマナマナとチュッピの間にある隔たりを物語っており、まつりがただのチュッピであると言う現実を突きつける訳です。
このようにチュッピと言う言葉は魔法と言う題材を扱う上で「厳しい現実」と言う側面を炙り出す作用があり、プリマジで扱われる魔法は現実の裏側と言う役割で駆動している事が伺えます。
こうして見るとプリマジってもしかして不穏な作品なのか?みたいに思ってしまいそうですがそうではありません。むしろここからがプリマジのテーマです。
・マジ(魔法)はなくてもマジ(本気)はある
ではチュッピであるまつりが突き付けられた厳しい現実と向き合う為にはどうすればいいのでしょうか?これに対する答えがマジ(本気)です。
自信が持てずに夢の欄を空白にし続けていたまつりはついにペンを取ります。そこからのまつりにもう迷いはなく完全にマジ(本気)です。ではまつりの身に一体何が起きたのでしょうか?
このきっかけとなったのはみゃむから突き付けられた現実です。まつりがマジ(真剣)になれたのはチュッピであるまつりにはマジ(魔法)がないと言う残酷な現実を受け入れる事ができたからです。このマジ(魔法)がないと言う現実を受け入れると言う開き直りこそがマジ(本気)になる為の条件であると言う事が描かれています。
ここで注目すべきなのはまつりが夢の欄に書いた内容が「かっこいい自分になる」と言う事です。そもそもまつりが夢の欄を空白していた理由は夢がないからではありません。その夢を書けるほど自分に自信がないからです。と言う事はこの「かっこいい自分でいたい」と言う夢は本来まつりが書きたくても書けなかった夢ではありません。現実を受け入れた上でのマジで目指す現実的な落とし所まで夢のランクを下げている事が最大のポイントです。
魔法と言う題材を使って現実と向き合うと言う一見矛盾した素晴らしい1話です。
プリマジはマジ(魔法)とマジ(本気)つまり魔法と現実の物語なのです。
・何故ワッチャなのか?
ここまでくるとあの意味不明なタイトル、「ワッチャ」の意味が見えてきます。
プリマジはマジ(魔法)とマジ(本気)の物語です。ここで注目すべきはプリマジのテーマ曲である「マジ・ワッチャパレード」です。「マジワッチャ」は「マジ」と「交わっちゃう」がかかっています。つまりプリマジはマジとマジが交わった時に始まる物語だと言う事です。
・謎の合言葉「マナマナマジパチュッピ」
更に言うとこの謎の合言葉の意味ももうわかるはずです。
プリマジはマナマナ(魔法)とチュッピ(現実)の物語です。間に入る「マジパ」はマジ(魔法と真剣)のパートナーの略だと言う予想はすぐに立ちます。
1話時点ではまつり(現実サイド)が魔法に大きく影響を受けて成長する事が描かれました。
今後はみゃむ(魔法サイド)がチュッピと言う現実にどの様な影響を受けてどのような成長を描いてくれるのかに期待しています。